1963年に登場したコルベット・スティングレイの原点になったスティングレイ・レーサーのデザインを20代で手がけ、その後モータースポーツ史に刻まれる名車シェルビー・デイトナをデザインしたレジェンダリーデザイナー、ピーター・ブロック。1960年代後半には自らが率いるレーシングチーム「BRE」を立ち上げ、SCCAやTrans-Amシリーズなど北米のモータースポーツシーンで大活躍。ダットサンの名を瞬く前に全米に知らしめた人物だ。そんなピーターが1972年のチーム解散から実に40年余りの時を経て、再びBREを復活させ、新たなプロジェクトをスタートさせた。

「510ブルーバードやフェアレディ240Zのファンは今も増え続けていて、BRE解散後も多くのファンからメッセージをもらったんだ。本当に素晴らしいクルマだし、そのスタイリングは今でもとても輝いている。私はこれら日本車の魅力を、もう一度多くの人達に伝えたいと思いBREをラスベガス郊外で再始動させたんだ」。ピーター・ブロックが新たなプロジェクトカーとして選んだのは1971年式のフェアレディ240Z。朽ち果てた姿となっていた中古車を手に入れたのは昨年の春のこと。それから17ヵ月を費やし現代に蘇らせた。

「今回はかつてのレース活動で培われたノウハウを生かしたツーリングGTカーを制作することにした。BREのオリジナルカラー(ホワイトとレッドのカラーリング)は少しトーンダウンさせ、ホワイトとシルバーとしエレガントな雰囲気を出した。もちろんサイドにはBREのトレードマークであるストライプとロゴもはいっている。かつてのファンも、新しいファンもきっと気に入ってくれるはずだ。まだこのクルマでは十分に走っていないけど、素晴らしい仕上がりになっていると思うよ」。

なぜあえて古い日本の名車を手に入れ、このプロジェクトをスタートさせたのかとピーター・ブロックに聞くとこう説明してくれた。 「私がこのプロジェクトをスタートさせたのは、時代を超えて愛され続けるクルマを世に送り出してくれた日産への恩返しをしたかったんだ。片山さん(当時、米国日産の社長であった片山豊氏)や松尾さん(デザイナー)は本当に素晴らしいクルマを作ってくれた。私のプロジェクトカーをきっかけに、この40年以上も前に生まれた美しいクルマに再び注目を集めることができたら、本当に素晴らしいことだね」。

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