この数年、革新的な技術として様々な分野で注目を集めているのが3Dプリンター技術。すでに自動車生産の分野でも3Dプリンターによる部品成形が始まっているが、この技術を使っていち早く自動車そのものを作った会社がある。それがアメリカ・アリゾナ州にあるローカル・モータースだ。

彼らの小さな2人乗りの電気自動車は大量生産をするレベルには達していないが、1915年にT型フォードの大量生産が始まって以来、100年もの間自動車はアッセンブリーラインで作られてきたことを考えれば、3Dプリンターによる自動車生産は歴史を大きく変える一歩になるかもしれない。

「新しい自動車を世に送り出すまで、そのコンセプトやデザイン、設計、そして生産まで平均して7年もかかるのはあまりに長いと考えていました。私たちはかなり前からその時間は必ず短縮できると考えていました。設計から生産までのスピードを上げ、もっと効率の良い生産方法はないものかと探っていたときに科学技術に関する国立研究所であるオークリッジ国立研究所を見つけました。この研究所ではすでに1年をかけ非常に大きな3Dプリンターを開発しており、我々のCEOであるジェイ(ロジャース)はすぐにこのプリンターを自動車生産に生かそうと考えたのです。そこからこの3Dプリンター技術をつかった自動車生産について研究開発をスタートしました」そう語るのはローカル・モータースで3Dプリンタープロジェクトを率いるジェームス・アールだ。

しかし世に出て間もない3Dプリンターを使い、自動車を作るというのはこれまで誰も挑戦したことのないプロジェクト。その開発はスタート直後から困難を極めたという。「はっきり言って簡単なことではありませんでした。プロジェクトをスタートすると、すぐにいくつかクリアしなければならないことがあることがわかりました。まずはプラスチックという素材の問題です。プラスチックは熱によって伸縮するのです。冷えると縮み、暖めると伸びるという性質を持っています。3Dプリンターは熱によって溶かしたプラスチックを何層にも重ねて成形をしていきますから、高温押出成形後に冷めながら収縮していくのです。小さな3Dプリンターだとこの熱による伸縮はさほど大きな影響を及ぼしませんが、私たちが作ろうとしているものはクルマという大きなものなので、プラスチックが持つこの特性は製造上とても大きな問題となったのです」。

彼らはこれまでにないクルマづくりを実現させるため、素材そのものから研究・開発をしなければならなくなったのだ。

Ep.2 に続く…

LOCAL MOTORS:https://localmotors.com/

text=KURUMAG. photo=Yujiro Otsuki, Local Motors