ーー ローカルモータースは自動車のみならずオートバイや自転車、そして三輪車まで様々な乗り物を作っていますが、あなた自身が乗り物に興味を思ったきっかけから教えてください。

実は僕の祖父はインディアン・モーターサイクル社のオーナーだったんだ。祖父は小さな頃から僕に様々なことを教えてくれた。1930年代から1940年代のバイクのことやエンジンの仕組みについてもね。その影響もあって当時はオートバイに夢中になっていたんだ。カスタマイズやモータースポーツもそのころからメジャーになり、ハーレー・ダビッドソンや祖父のインディアンも単なる移動手段としてのオートバイではなく、より趣味性の高いものになっていった。こんな時代をリアルに体験した僕がいま自分の会社でオートバイも作れているということは本当に驚きだよ。祖父のおかげだね。

ーー クルマへの興味はいつ頃から?

僕はモノ作りが好きなんだ。だからオートバイも、クルマも、家具も、飛行機も、全てのプロダクトにとても関心があったんだ。そのモノ作りのプロセスはどれも面白く、いつだって僕を夢中にさせてきた。もちろんクルマにも触れる時間もたくさんあったんだ。ただ僕の場合は古いクルマを直すよりも、何か新しいクルマを作り出すことを考えるほうが好きだったね。

ーー いま世界中が注目するローカルモータースの創業までの経緯を教えてください。

ローカルモータースはこれまでにない自動車メーカーなんだ。クラウドソーシングを活用したマイクロ自動車メーカーで、デザイン、製造、販売の全てを行っている。特徴的なのはオンラインでデザインし、自らがマイクロファクトリーで組み立て、そして作り上げたクルマをオンラインで販売するということ。巨大自動車メーカーとは対極にあるモノ作りも必要だと感じていたからね。

しかし自動車メーカーは誰でも簡単にできるものではないんだ。学生時代からカーデザインは学んでいたんだけど、自動車メーカーを作るとなると様々な知識が必要になる。技術的な知識も、法律も、会社を経営するためのマネジメントのノウハウも必要だ。僕は大学卒業後、すぐに自動車メーカーを立ち上げることはせず、まず中国の医薬メーカーに就職をした。ここでまず製造業の仕組みを3年間学んだんだ。その後のアメリカに戻り3年間はバンカーとしてのキャリア積んだ。ここでは自動車メーカーの経営に不可欠となるファイナンシャルについて多くを学ぶことができた。その後の6年間は海兵隊ですごし、ここで様々なことを考える時間があって自動車メーカーの起業を決意した。そしてハーバードビジネススクールで改めて学んだ後、ローカルモータースを立ち上げたんだ。

ーー 起業までずいぶん時間をかけましたね。

新しいことを始めるために賭けにでるようなことはしたくない。これは私と一緒に働く仲間たちにとって何一つ得することにならないからね。これまでにない全く新しい自動車メーカーを作るという目的のためにきちんと考えて行動しなければならないんだ。将来の仕事、将来の安全、将来のエネルギー、全てのことを考えなければいけない。

ーー マサチューセッツで会社はスタートし、このラリーファイターを作り上げたのですね。

ローカルモータースのクルマ作りを象徴するラリーファイターはクラウドソーシングから生まれた最初のクルマだ。世界各国にいる500人ものデザイナーがオンライン上で作り上げた素晴らしいクルマなんだ。スタイリングは革新的でありながらオーセンティック、そして素晴らしいオフロード性能とオンロード性能を併せ持つ。このクルマが面白いのはオンラインでデザインされたことだけでなく、オンラインでカスタマイズが可能で、さらに購入したクルマを自らマイクロファクトリーで組み上げることができることなんだ。工具の使い方から、クルマを構成する全ての部品の意味をしっかりと理解することができる。こうして作り上げたクルマはオーナーにとって世の中に存在するいかなるクルマよりも価値があるものとなるはずだ。例えば信号で隣にフェラーリが並んだとしよう。そのフェラーリのオーナーは間違いなく、ラリーファイターについて聞いてくるはずだ。そのとき自分でデザインし、自分で作ったクルマだとはっきりと言えるんだ。

ーー 新しい発想で次々と面白いプロダクトを作り上げ、3Dプリンターによるクルマ作りも世界的な話題になりました。新時代の自動車メーカーは今後どのように成長していくのでしょう?

自動車メーカーには常に新たな発想が必要で、我々は世界中の仲間を招き入れている。彼らが今後、それぞれの国でまた新たなコミュニティを作り上げ、一緒にクルマ作りを始めるだろう。そして世界各国にマイクロファクトリーが誕生していくはずだ。最初はたったひとりで始めたこの会社だけど今では220人の仲間がいる。年末までにはさらに増える予定で、今後時間をかけ会社はさらに大きくなっていくはずだ。

ーー 世界中から注目を集める自動車メーカーの経営者のひとりですが、プライベートは?

僕には4人の子供達がいて彼らはすでに僕の仕事に興味津々のようだ。僕が作っているクルマのことよりも、お父さんは一体何をやっているんだ?ってね。小さな子供達がそんなふうに僕の仕事に興味をもってくれているのは最高だね。それと僕は旅がとても好きなんだ。世界中を旅しながら、僕らのクルマがその街を走る姿を想像するのは本当に楽しい時間さ。いつもワクワクするよ。

LOCAL MOTORS:https://localmotors.com/

text=KURUMAG. photo=Yujiro Otsuki, Local Motors