ミッドシップレイアウトを採用した
本気の2シーター軽スポーツカー

ホンダから2シーター・ミッドシップスポーツカーS660(エスロクロクマル)が登場した。

S660はホンダの若手エンジニアたちのアツい想いが込められたモデルだ。このクルマのプロジェクトは、スポーツカーが好きでホンダに入社した椋本陵さんが、車両開発を行う本田技術研究所の創立50周年イベントとして行われた「新商品提案企画」に出した軽自動車スポーツカーがグランプリを受賞したことで始まったもの。当時椋本さんは弱冠23歳という年齢で開発責任者となり、こんなクルマを作りたかったんだという同じ想いを持った若手エンジニアが彼のもとに集まりその開発はスタートした。

「若い世代はクルマに興味がないとよく言われてますが、僕たちはクルマが大好きなんです。ですからあえてクルマ離れ世代から、クルマって楽しいんだぜ!というメッセージをドストレートに発信しようと誓ったんですよ」

集まった開発メンバーは個性派ばかり。こんなにも個性的でアツい社員が同じ会社にいることに驚いたという。そんな若手エンジニアが本当に自分たちが満足するスポーツカーを作るために必死になった。幾つもの壁に突き当たり、その度自分たちが作りたいクルマとは何かを考えた。最終的に1人の想いは社内のエンジニア500人以上の心を動かし、ついにこの一台を完成させ世に送り出した。

2シーターのスポーティカーか本格スポーツカーか、この選択において彼らは本格スポーツカーを作る道を選んだ。ゆえにそのこだわりは細部に至るまで徹底している。

 新設計のターボチャージャー付き3気筒エンジンをレーシングカーや同社を代表するフラッグシップスポーツモデルNSX同様にミッドシップにレイアウト、これに軽自動車初となる6速MTと7速バドルシフト付きCVTを組み合わせている。

また「アジャイルハンドリングアシスト」と呼ばれる電子制御技術も採用。コーナリング時の車体コントロールにブレーキ制御を活用することで、ドライビングスキルを問わず誰もが狙ったラインをトレースすることを可能とした。

もちろん楽しい走りの演出にも手を抜いていない。吸・排気音、ターボチャージャー作動音、アクセルオフ時に過給圧を開放するブローオフバルブ音など、アクセルを踏み込むたびにワクワクしてしまうエンジンサウンドにもこだわっている。

ここに開発に関わったメンバーの想いを書き綴った一枚の模造紙がある。これを見れば彼らのこのクルマに込めた想いをさらに深く理解することができるはずだ。「自分たちの新しい時代のホンダをつくる」という次世代を担うエンジニアたちのアツい想いが込められた元気いっぱいのモデルだ。

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text=Shigeyuki Ishikawa

※KURUMAG. No.7(2015年4月16日発行)に掲載