ハリウッド映画のコンポーザー(作曲家)として活躍し、現在はマリブ近郊でレインチェーンブランドの代表兼デザイナーを務めているガーム・ビール。そんな彼の愛車はスバルが北米進出を果たした60年代後半に2200台だけ輸出されたサンバーだ。

比較的小柄なエコカーが増えたとはいえ、まだまだフルサイズのクルマたちが走るカリフォルニアで、ひときわ小さなクルマが周囲からの視線を集めている。そのクルマこそガームの愛車であり、スバル360をベースにしたバン「サンバー」である。

「このバンは僕にとって2台目のスバルなんだ。最初はスバル360を持っていたんだけど、その時にこのバンのことを知ってね。気になってすぐに探し始めたらなんと同時に2台の中古車を見つけることができたんだ。実際にクルマを見に行くと本当にクールなクルマだったよ。そのスタイルはとにかく小さなバスのようでね。僕はこの2台をすぐに手に入れて、使えるパーツを寄せ集めて1台を組み上げたんだ。それがこのクルマさ。あれからもう2年乗ってるよ」。

今では愛くるしいクルマのオーナーだが、以前は映画ワイルドスピードに影響を受け、500馬力にチューニングされたサイオンTCやレース仕様のトヨタ ヤリス(日本名:ヴィッツ)なども所有していたという。そんな少々トンがったカーライフに飽き始めた時、ガームは日本のヴィンテージカーに出逢ったのだ。

「週3日はこのクルマで仕事に出かけているんだ。このルックスで、驚くほど遅いクルマだから、いつだってみんなの注目を集めているよ。このクルマの魅力は2つある。ひとつは時間に対する価値感が変わることだね。このクルマに乗っていると、周りのクルマに対して、なんでそんなに急がなきゃいけないんだ? 急ぐ理由はあるのか? ゆっくり走ればいいじゃないか! って思う時がある。ゆっくり走るのも楽しいもんだよ。そして、もうひとつは誰一人、怒らせないクルマっていうところだよ。みんな僕のクルマを見れば”すごくいいね”、”キュートだね”とニコニコしながら声をかけてくる。信号で止まればみんな手を振ってくれるし、写真も撮ってくれるんだ。みんなをハッピーな気持ちにさせるクルマって、すごいだろ!」。

この日もガームの’69年式サンバーには、小さな女の子からおじいちゃんまでたくさんの笑顔が自然と集まってくる。

「このクルマが生まれて40年も経過しているのにその魅力はまったく色あせないんだ。1960年代、1970年代のクルマ、特に日本車は本当に素晴らしいね。僕のクルマを見た人みんなが笑顔になる、こんな素敵な話ってないだろ?」。

text=KURUMAG.
#KURUMAG.6号に掲載したインタビューを再編集したものです