ハリウッド映画でカースタントを務める傍ら、BMWやアウディなど400本を超える自動車メーカーのコマーシャルでもドライビングを披露。さらにレーシング・ドライバー&ライダーとしても活躍するグレッグ・トレイシー。そんな彼にクルマとの出会い、そして自身のカーライフについて聞いた。

ーーまずはじめにバイクやクルマとの出会いから聞かせてください。

父がバイクのレーサーで、ウォータースキーのレーサーでもあったんだ。彼は1964年にスピードスキーでワールドレコードを持っていた。そんな父に3歳の誕生日にバイクを買ってもらったんだ。もちろんすぐに夢中になって、それからずっとバイク漬けさ。15歳の時にはプロライダーになっていたよ。小さな頃からバイクもクルマもとにかく大好きな子供だったんだよ。

ーーそしてレーサーとしてのキャリアがスタートたというわけですね。

そうだね。しばらくはバイクのレースをやっていたんだ。スーパークロスやボンネビル・スピードウィークに出ていたし、2001年と2002年はバハ1000に参加しながら「ダスト・トゥ・グローリー」というドキュメンタリー映画もつくったよ。これまでバイクで様々なカテゴリーのレースに参戦したけど、なかでもパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは素晴らしい思い出がたくさんあるね。

ーー日本でもグレッグ・トレイシーといったらパイクスピークを連想する人も多いはずです。

パイクスピークには1996年から出ている。最初は250ccクラスに参戦して優勝した。1年目から好感触だったね。その後450ccのスーパーモトで参戦し、その後ドゥカティのライダーとしてハイパーモタードで戦ったよ。そして2012年にドゥカティのムルティストラーダへとマシンを変えたんだ。この年はバイクで10分の壁をやぶったんだ。実はその前の週に派手に転倒して、月曜と火曜日は全く記憶がなかったんだ。でも水曜日、木曜日になるとなんとかバイクを起こせるくらいになったので、レースに出ることにしたんだ。そして日曜日にこのすばらし結果が出せたんだ。パイクスピークではこれまでにバイクで6度優勝することができた。

ーーその後の四輪への転向、そしてハリウッドでのカースタントについても聞かせてください。

四輪に転向したのはスーパークロスで怪我をしたのがきっかけなんだ。1991年以降、少しだけバイクから離れ、カースタントとカーレースをこなすようになったんだ。ハリウッド映画のカースタントではワイルドスピード・トウキョウ・ドリフトやタラテガナイト、スパイダーマン、GIジョー、ボーンアルティメイタムなどでドライブしたよ。ボーンアルティメイタムではワールド・スタントマン・アワードも獲得できたよ。そのほかホットウィールでもスタントドライバーとして活動をしている。昨年はロサンゼルスでタナー・ファウストとともにダブルループにチャレンジし、ギネスワールドレコードに登録された。これはいつもとは違ってものすごい数の観客の前でやったスタントだったね。カーレースではF2000やデイトナ24時間レースに出場した経験もあるんだ。

ーーモータースポーツでもカースタントでも素晴らしいキャリアばかり。プライベートではどんなカーライフを送っているのですか?

クルマもバイクも走らせているときって集中力がグッと増すよね、あの瞬間が好きなんだ。だから仕事以外でもドライビングするのは大好きだよ。クルマもバイクもたくさん持っているよ。一番のお気に入りは1964年式のBMW R60サイドカーだね。そのほかドゥカティMHE900やスーパーモトなどバイクは全部で15台あるよ。クルマは日産のドリフトカーからビンテージ・モーターホーム、それからゴルフカートまである(笑)。日常の愛車はBMWのM3だよ。

ーーガレージにはずいぶんきれいなメルセデスが止まっているいるけど、あのクルマは?

ガレージに止まってる1984年式のメルセデス・ベンツ380SLはクリスマスに妻へプレゼントしたクルマなんだ。すべてオリジナルで、400マイル(約640km)しか走っていない、まさにショールームコンディションのクルマだよ。隣のサイドカーと並んでいる姿もいいだろ?お気に入りのR60サイドカーは子供たちも大好きなんだよ。

追記:
このインタビュー後、グレッグ・トレイシーは三菱自動車の四輪EVレーサーMiEV Evolution IIIでパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに参戦。見事クラス優勝を果たし自身7度目のパイクスピークタイトルを獲得した。

グレッグ・トレイシーのサイト
My Life at Speed | http://mylifeatspeed.com/

text=Shigeyuki Ishikawa
photo=Yujiro Otsuki, Shigeyuki Ishikawa

※KURUMAG.創刊号(2013年09月16日発行)に掲載